血みどろの西洋史 狂気の1000年

血みどろの西洋史狂気の一〇〇〇年―魔女狩り、拷問、ペスト、異常性愛…中世ヨーロッパの「闇の時代」の真相に迫る! (KAWADE夢新書 335)
 読み返したりとか絶対しないんだけれど、桐生操的な本をついつい買って読んでしまう性癖がある(一度は行ってみたい所…ローテンブルクの中世犯罪博物館)。中で面白かったのは、昔のフランスの医学では「歯は全ての病の根源である」と考えられていて、歯を全部抜いて顎の骨を砕いてしまうことこそが「最高の予備的治療」だったという話。そしてその最高の治療は、時の権力者である「太陽王」ルイ十四世にも施された。

 あわれにもルイ14世は、以降ずっと歯抜けで過ごさねばならなかった。固いものはもちろん食べられないので、ドロドロに煮詰めた料理しか一生味わったことが無い。(中略) 王は上顎を砕かれる際に上顎洞に通じる穴まで貫通されて、流し込んだ食物が副鼻腔内で腐敗していく目にあった。そして砕き散らかされたあご骨からは、歯槽膿漏状の臭気が発生し、ひとこと王が発言するたびに、部屋中にものすごい臭いが充満した。

 おまけにルイ14世は慢性の痔ろうで、ほぼ糞便垂れ流しの状態だったらしい(服もウンコまみれ)。「太陽王」とか言って調子こいてても、実際はぐっちゃぐちゃのオッサンだったんだなぁ。マリー・アントワネットも、あのソフィア・コッポラの映画みたいな感じじゃ絶対ないだろう! 中世のドレスってとんでもなく脱ぎにくいし(着る時にいちいち縫い付けたりする)、アントワネットもウンコとかガンガン漏らしてたはず。キルスティン・ダンストがウンコ漏らす映画なら多分傑作になったのになぁ。「パフューム」では結構ちゃんと描かれていたけれど、中世ヨーロッパを舞台にする時はもっと汚い話も入れて欲しい。