アバターの大佐が最高過ぎる件


アバター」は何が良かったかって、スティーヴン・ラング演じる、えーっと、クオリッチ?大佐? 名前が今ひとつ覚えづらいんで、「アバターの大佐」とだけ呼ぶことになるんでしょうけど、このキャラクターがとにかく良かった。いかにも修羅場をくぐってきた歴戦の武官という雰囲気で、顔にはざっくりやられた向こう傷。「重力が軽いと体がなまる」と言ってブフーッとバーベルを上げながら、


ベネズエラではかすり傷一つ負わなかったこの俺が、この惑星にきた途端このザマさ」


この時点で新兵のキンタマキューン!ですよ。その後、「だがこの傷がいい。この傷が俺をたぎらせる」、「お前も俺の命令に従えば、悪いようにはしないぜ?」ですからね。ガチムチボディで喧嘩も強そうだし、もうこいつの命令に逆らえるわけがねぇなっていう、待ったなしの統率力が登場シーンから滲み出てる。


そして悪役ながら誰もが「大佐やべぇ!」と思うのが、軍を裏切った主人公達がヘリで脱走を図るシーン。舞台となる惑星パンドラの外気は人間には有害で、酸素マスクなしだと何分間かで死ぬっていう設定なんですが、主人公達の動きに気づくや否や、「総員マスク着用!」とだけ叫び、自分は何も着けずにハッチを蹴破って、飛び立つヘリに向かってマシンガンをズダダダダ! 腰の拳銃も撃ち尽くし、部下が慌てて差し出したマスクを「うむ」と受け取ってスハー。何じゃこのかっこよさは! まさに悪・即・斬。悪役とは言え、己の正義を一瞬の迷いもなく行動に移すというこの意志の強さに濡れた人も多いはず。台詞で語るのではなく、アクションでそのキャラクターの人間性までわかってしまうシーンというのは、やっぱ映画ならではの醍醐味だなぁと思う。大層な御託を並べ立てるよりも、僕等はこういうシーンのことをもっと考えるべきなんですよ!