ジョニーは戦場に行った(1971/米 ダルトン・トランボ) ★★★★

ジョニーは戦場へ行った

 これはきっついなぁ。戦場で両手両足と顔面を吹き飛ばされ、息をするだけの肉塊となった主人公ジョニーが、ベッドの上でひたすら延命治療を施される。意志を伝える方法がないため、ジョニーの苦しみや絶望が周囲に全く届かないのが痛々しい。「自分には顔がない! ただえぐれているだけだ!」と本人が気づく時の描写なんかでは、思わず「ヒィ」と声が出た。白黒で描かれる現実と、カラーで描かれるジョニーの夢の対比が物哀しくやるせない。唯一動く首でモールス信号を打てることを発見したジョニーは、「KILL ME...KILL ME...」と発信し続けるのだが、その思いが聞き届けられることはなく…。ラストは「堪忍してくれ!」と泣きを入れそうになるぐらい絶望的。反戦の映画かなとも思ったけど、戦争の陰惨さと言うよりは「自由を奪ってはいけない」という所に重きを置いている気がする。死の自由すら奪われれば、人は発狂していくしかない。