LOSS

LOSS(ロス)
 「記憶も言葉も奪われて知らない街に放り出される」というシチュエーションがちょっと面白そうだと思って見てみたけれど全然ダメだこりゃ。そういう絶望的な状況からどうやって逆転するかを期待していたら、記憶をなくしたままただウロウロっとして、同情した敵方のじいさんに助けられ、最後だけちょっと頑張るものの結局はパァという最初から最後までどん詰まりの映画。「絶望に抗う人間力」みたいなものが全然感じられないし、敵方の犯行動機も「人間をロボット化して要人の暗殺に使う」というてんでつまらない即物的なもので、「そんなことするのにこんな手の込んだことが必要か?」と思ってしまう。まぁ百歩譲って目的はそれでいいとしても、そこに個人的な怨恨とか、誇大妄想とかが一枚噛んでこないことには妙味は出んのじゃないですかね。でもこういう「ヨーロッパ微妙スリラー」みたいなジャンルってあるよなぁと思った(「0ジ34フン」とか、あの辺)。