リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
 好きだなー、こういうしょうもないの。「俺が悪いんじゃない!俺を疎外する社会が悪いんだ!」的思考回路の人が、妻にも見放され、職場ではからかわれ、そういう状況から抜け出そうと投資家から融資を受けて起業しようとするも、大したプランがあるわけじゃないので「ノーマネーでフィニッシュです」。「あ…なんかボク…キレちゃったな…」と自暴自棄になった男は、「俺みたいな善良な人間が苦しまなきゃいけない世界なんてぶち壊してやルゥ〜」と空港で銃をぶっぱなして射殺されるのだった。うーん、この周りを見下してるんだけど自分では何もできない感じとか、綺麗事が好きなんだけど実際には杜撰な人生を送ってる感じとかがたまらない。この映画の主人公に限らず、社会から疎外される人って基本的には純粋な人なのだと思うけれど、その純潔を守ろうとするあまり周囲を「くだらない人間どもが」みたく一つ高い位置から見るようになっちゃうと、どんどんこじれていくなぁという気はする。「嘘ついて金儲けしてもいいじゃん。適応しなよ」とか言ってくる世界に反発を抱く純粋さは好ましいものなのに、それが何で関係ない人をぶっ殺すことになっちゃうのよと。そこまで飛躍しちゃう背景にはやっぱり「純粋な奴の方が不純な奴より偉い」という考えがあるからだろうし、それって「金持ちが一番偉い」って考え方とどう違うの?と思っちゃいますなぁ。まぁともかく世界が理不尽で生きにくいことは間違いないんだから、もうそれが当たり前と思って焼かれてくしかないなと思う。