ゆれる ★★★

ゆれる
 だらしのない弟に代わって法事や実家のガソリンスタンドを切り盛り、クレーマーに因縁をつけられてもニコニコペコペコ、誠実で誰からも慕われる良い人、良い兄貴。でも絶望的にモテないんだ…自分大好きな芸術家肌の弟に、好きな女も寝取られちゃうんだ…。挙句の果てに女を殺したことになって逮捕され、ぶっ壊れて「一生ガソリンスタンドで働くのも、この檻の中にいるのも大して変わんないよ」と一点みつめで語る兄。こりゃこええ。心底ゾゾっときた弟は、ほんとは兄貴を助けられたのに、「もう自分にとって都合のいい兄貴はいなくなった」ってことでケツまくって、実の肉親を7年もムショにぶち込んでしまう。なんてことすんだ。「兄貴が橋の上から女を突き落としたのか。それとも事故だったのか」という凄く大事な部分が曖昧にされているのがモヤモヤするとこなんで、そのモヤモヤをとっくり考えろ、という映画だと思う。オダギリが「もうこんな兄貴も世界も嫌だ」と思えばそれは殺人になるし、「やっぱり兄貴は俺の兄貴だ」と思えばそれは事故になるんだろう、ん?もう何だかよくわからなくなってきた。



とりあえず香川照之の芝居力には毎度のことながら頭が下がる。