ルワンダの涙 ★★★★

ルワンダの涙
 同じルワンダという国の国民でありながら、少数民族ツチ族80万人が、フツ族の一般民衆の手によって大量虐殺された「ルワンダ紛争」の最中に起こった実話を元にした映画。2500人のツチ族が山刀を振り回すフツ族民兵に追われ、命からがら国連軍の駐留する学校に逃げ込むものの、軍事的介入を避けたい国連軍は何もしないで撤退。マスコミと牧師は傍観することしかできない。やっとこさ軍隊が助けにきたと思ったら、「トラックに乗れるのは白人だけだ」と言う。到底見過ごすことなどできない、無力な者達への破壊が今まさに行われようとしているのに、それに背を向けることしかできない無力さ、理不尽さ。誰か一人でもいい、一声でもいい、天に向けてマシンガンをぶっ放し、「女子供を殺す奴は地獄に落ちるぞ!」と叫ぶ者が現れてくれ! 神よ、ヒーローよ、今こそ力を持たない人達を救ってくれ! しかし軍の保護を求めて学校に避難したツチ族2500人は、結局丸腰のまま暴徒と化したフツ族の中に置き去りにされ、ごく数名の生存者を除いては皆殺しにされてしまうのだ。2500人分の人生を想像することなどできないし、「こんなことを繰り返しちゃいけない」とは思っても、心のどこかで「しょうがない」という気持ちはついて回る。どうしたらいいかなんてわからない。でもわからないからこそ、知っておきたい。80万人もの人間が、立場は違えど同じ人間に一方的に虐殺されたという事実を知り、そのことについて考えたい。答えは出ないが、ただ考えたい。


「山刀で殺されるのは嫌だ。せめて子供達だけでも、あなた達の銃で安らかに死なせてあげてくれないか?」と、国連軍将校に涙ながらに懇願する父親の言葉があまりにも痛い。