大地獄城・血だるま力士

大地獄城,血だるま力士

 

「大地獄城」

 あまりにも凄まじい復讐劇。そして止まらない復讐の連鎖。南條範夫先生の短編「復讐鬼」とまったく同じストーリーであり、これが原作だと思われるのだけれど、原作者のクレジットがないところを見ると、「復讐鬼」という話は巷間に伝わっていた民話のようなものなんだろうか…。そういえば南條先生の小説も「人づてに聞いた話」だと冒頭に前置きがあった。作家が作った話ではなく、民間で流布されていた話なのだと思うと何だか余計に迫力が増す。


「血だるま力士」

 暴れ者の力士が、土俵にションベンをした武士をチョップで殺すという話。冒頭この「土俵にションベン」の場面が、カラー見開き1ページで「大名の倅が家来と三人で土俵にションベンをしたという記録がある」というナレーションともに描かれるのだけれど、頑なな表情でションベンをする武士といい、「え…」という力士達の表情といい、これ以上ない掴みとなっている。何という異様な空気。「セルフあばら引き抜き」もとてつもない(死ぬだろ)。


「頭突き無双」

 これも力士モノ。仏門を抜け力士になった男が、得意の頭突きを極限まで磨き上げ出世するという話。どれくらい磨き上げるかというと、頭が人体を突き破るくらい磨く。最終的には武士の倅を殺してしまい、その親と果し合いになるのだけれど、このラスト8ページくらいのテンションが本当に凄まじい。武士がいきなり騎馬と甲冑でカチこんできて、「武士の勝負とはこれなり〜〜っ いざぁ〜〜っ」だもんなぁ。それを頭突きで迎え撃つだもんなぁ。やばいやばい。