読了

「きのう、なに食べた?」

よしながふみの「きのう、なに食べた?」を最近やっと読んだけれど、これ、にわか料理熱がメチャメチャ高まる漫画だなー。シロさんが異常な手際の良さで小気味よく庶民的な料理を並べていくのを見ると、別に好きでもないのに料理がやりたくてたまらなくなっ…

死体を科学する(上野正彦)

人間の皮膚は切り取るとすぐ縮むので、ハンニバル・レクターみたいに人の皮をひっぺがしてそのまま被ることは通常できないらしい。バッファロー・ビルの努力は涙ぐましいなぁ。あと「セブン」の死体は監察医の目から見ても本物と見紛うほど精巧なつくりとい…

イリーガル・エイリアン(ロバート・J・ソウヤー)

人類と初めて接触したエイリアンが、殺人の疑いで検挙され裁判にかけられる「ファースト・コンタクトSFにして法廷ミステリ」。エイリアンと地球人の文化の違いが思わぬおかしさを生んだり、人間とは違うエイリアンの身体構造が裁判の争点となったりと、1ペー…

火星ノンストップ

と学会会長山本弘による傑作SF短編集。何と言っても表題作の「火星ノンストップ」の荒唐無稽さとセンチメンタリズムを激賞したい。無着陸飛行専門の冒険家が地球の大気を盗むエイリアンと対決するため、時代遅れのプロペラ機に乗ってその盗まれている途中の…

ターミナル・エクスペリメント

ソウヤーを初めて読んだけど、かなり面白い。魂の存在が科学的に実証された未来で、魂の正体を知ろうと自らの脳を人工知能にコピーする男。しかしコピーされた精神には男の心に巣食っていた憎しみまで宿っているので、その人口知能がネットを使って人を殺し…

視点をずらす思考術 ★★★

虫眼とアニ眼 ★★★

夜と霧

何ともうまく言えないのがもどかしいが、「非常に重要なことが書かれている本を読んだ」という深い感慨があった。折に触れて読み返す一冊となりそう。 わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはな…

超古代オーパーツFILE 決定版

2008年一発目の読書はオーパーツ大図鑑。500円で300点ものオーパーツの概要がおさらいできるという素晴らしさ。水晶ドクロだ! コスタリカの真球だ! うつろ舟だ! 三葉虫を踏んだ靴底化石だ! いやー、面白い。こういう軽めの内容でたくさんのオーパーツを…

皇国の守護者 5巻

最近「うそーん」と思ったことのベストワンがこの漫画の打ち切り。案の定「どう考えてもここからすげー面白いじゃん!」という所で終わってくれていて悶絶した。これはもう小説を読まざるをえない(それが狙いか!)。

初秋

私立探偵スペンサーが活躍するハードボイルド作品だが、チンピラを傷めつけたり売春婦を誑かしたり腐った権力者の切った札びらに煙草を押し付けるようなイメージのハードボイルドとは少々趣きが違い(そういうのも好きだけど)、自分のことしか考えていないク…

血みどろの西洋史 狂気の1000年

読み返したりとか絶対しないんだけれど、桐生操的な本をついつい買って読んでしまう性癖がある(一度は行ってみたい所…ローテンブルクの中世犯罪博物館)。中で面白かったのは、昔のフランスの医学では「歯は全ての病の根源である」と考えられていて、歯を全部…

まれに見るバカ

「毒舌」で鳴らす勢古浩爾の本を初めて読んだけれど、非常にバランス感覚のある人で指摘がいちいち的を得ているので、不快さはなくむしろ痛快。田嶋陽子・佐高信・田中康夫などのろくでもない著名人をメッタメタに罵倒する箇所は読んでいて爆笑する。「毒舌…

人生を変える美しい勝ち方

最近は雀鬼・桜井章一の勝負哲学にハマっている。勝負を勝負としてとらえないというか、勝ち負けに我欲を挟まないというか、個人を越えた大きな視点から勝負事を捉える感覚が非情に刺激的だ。 ピシッ!牌をかき混ぜる指の四方八方に、鋭い電流が弾けたな痛み…

クトゥルー神話の本―恐怖作家ラヴクラフトと暗黒の宇宙神話入門

クトゥルー神話の本―恐怖作家ラヴクラフトと暗黒の宇宙神話入門 クトゥルー神話の入門書的な本。冒頭の神話イラスト集がえらいかっこよくてテンションが上がる。クトゥルー神話はほとんど読んでないけれど(「インスマスの影」、「ダンウィッチの怪」ぐらいは…

アイデア・ブック スウェーデン式

15分くらいで読めるうすーい本だけれど(1000円もするのが腹立たしくなるくらいの)、アイデアを生み出すことに対する心構えみたいな部分で、非常に有益な言葉が多く書かれていると思った。例えば「本物のアイデアを得るためには悪いアイデアもたくさん必要だ…

ためしてガッテン暮らしの役立ちワザ事典

何を読んどるんだっちゅう話ですが。でも意外に使える情報が載ってて面白い。みそ汁にヨーグルトを入れたら美味くなるってほんとかしら。赤ちゃんがスーパーのレジ袋をこすると泣き止むとか(母親の胎内音に似てるから)、「へぇー!」って言うしかないわ。ガ…

「狂い」の構造

「狂い」の構造 (扶桑社新書 19)春日 武彦/平山 夢明 世間一般の尺度で見て「えーっ!?」と思う事件について(光市母子殺害事件とか、畠山鈴香とか、ミートホープとか、給食費未納とか)、「何でそうなっちゃうかなぁ」と割合無責任なテンションで放談。下世…

崖の館

汚れなき少女の視点で描かれる哀しい殺人事件。哀しいというのは幼い頃から一緒に育った従兄弟の一人が犯人がから。「完璧な幸福」が悲劇の引き金になる、というのもどこか物哀しい。よくニュースなどで「幸せな一家を襲った突然の悲劇」という表現があるが…

「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55

「テレビを1日2時間見ていると、1年トータルで1ヶ月ぐらいになるので、これから50年同じ生活を続けたとすると4年もテレビに浪費することになる」的な主張を読んで何を思い出すかと言えば、ミヒャエル・エンデ「モモ」の時間泥棒の論調である。時間泥棒は人生…

大地獄城・血だるま力士

「大地獄城」 あまりにも凄まじい復讐劇。そして止まらない復讐の連鎖。南條範夫先生の短編「復讐鬼」とまったく同じストーリーであり、これが原作だと思われるのだけれど、原作者のクレジットがないところを見ると、「復讐鬼」という話は巷間に伝わっていた…

20世紀SF〈1〉1940年代―星ねずみ

短い作品ながらブラッドベリの「万華鏡」にシビれた。無茶苦茶かっこいい!

日本妖怪異聞録

「天狗や河童などの妖怪は、実は昔差別を受けていた人達でね…」みたいな話をしてくれる本かと思ったら全然違った。妖怪譚を一歩踏み込んで読み解くというよりは、普通に紹介しているだけ。妖怪絵巻にちょっと見応えがあるけれど、840円だして買う本ではなか…

日本「怪死」事件史

日本「怪死」事件史 (宝島社文庫 587) 日本では事件性が素人目にもわかるぐらいはっきりした死体でないと司法解剖されないらしい。事故に見せかけて殺されている人というのが結構いるのかもしれないなぁ。「航空機の尾翼はライト兄弟以来、戦闘と衝突の事故…

プロ相場師の思考術

相場で生活を立てている著者が、どういう思考・論理で物事に臨んでいるか…という本。要約すると勝つためには「客観的な視点を忘れず、自分を信じ、無駄を削ぎ落とし、研鑽に研鑽に重ねる」といったところだろうか。「相場に向かう勇気をもらった!」というよ…

冷たい校舎の時は止まる

上・中・下と3巻に渡る長編だけれど、長さを感じさせず一気に読ませる。「自分達の通う学校にそっくりな異世界に閉じ込められた8人の男女」という設定が、「女神転生」みたいで興奮する。登場人物の桐野景子は、「ペルソナ3」の桐条美鶴とぴったり重なる感じ…

反社会学講座

「近頃の子供はキレやすい」、「フリーター・ニートが国を滅ぼす」、「本を読まない人間はダメ」等の一見正しいことを言っているように見える主張に、データを示しながら「そりゃあんたの思い込みじゃないの?」と反論していってくれる何とも溜飲の下がる本…