まれに見るバカ

まれに見るバカ
 「毒舌」で鳴らす勢古浩爾の本を初めて読んだけれど、非常にバランス感覚のある人で指摘がいちいち的を得ているので、不快さはなくむしろ痛快。田嶋陽子佐高信田中康夫などのろくでもない著名人をメッタメタに罵倒する箇所は読んでいて爆笑する。「毒舌」というのは言っている人が信頼できそうな人なのか、ただのクソ野郎なのかでまるっきり評価が違ってくると思うのだけれど、勢古氏が作中で福本先生の「無頼伝・涯」を絶賛しはじめた時点で、自分はこの人に全幅の信頼を置くことにした。福本漫画の愛好者というのは自分のダメさに自覚的で、それでもそれを何とかしようと足掻いている人達だと思うからである。バカだが、バカに安住していない人間、自分のバカさ加減にウンザリしながらも這い進む人間、そうした人達は自分は信頼する。