冷たい校舎の時は止まる

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)
 上・中・下と3巻に渡る長編だけれど、長さを感じさせず一気に読ませる。「自分達の通う学校にそっくりな異世界に閉じ込められた8人の男女」という設定が、「女神転生」みたいで興奮する。登場人物の桐野景子は、「ペルソナ3」の桐条美鶴とぴったり重なる感じ。ひょっとしたらモデルなのかな。「学校そっくりの空間」は実は8人の中の誰かの精神世界で、しかもその人物はどうやら自殺している…みたいな感じで謎がびゅんびゅん加速していき全く飽きがこなかった。本筋のミステリーとは別に、一人一人が持つパーソナリティの悩みを織り込んでくるのだけれど、この肉付けが巧いなぁと感じさせる。辻村深月は「僕のメジャースプーン」も相当面白かったし、今のところハズレがない。次は「子供達は夜と遊ぶ」を読もう。