40男のバージンロード

40男のバージンロード スペシャル・エディション [DVD]
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成功した不動産マンのピーターは、一目惚れした女性ゾーイに結婚を申し込む。ある時ゾーイの女友達の「ピーターって、実は友達いないんじゃない?」という陰口を聞いてしまい、何とか親友を作ろうと奮闘するのだが、というお話。最近アメリカではこういう男性向けのラブコメが大ヒットしているらしい。


優等生的な人生を歩んできたピーターの前に、やることなすこと型破りなシドニーという男が現われ(ピーターの婚約者に「もっとフェラしてやれよ」とか言っちゃう)、言いたいことも言えないでいたピーターの性格が徐々に変わっていくという感じなんだけど、まぁピーターっていう人はそれ程ダメ人間でもなくて、最初からみんなに好かれてるし、仕事でも大成功してる。つまり親友ができなくてもピーターには幸せな環境がすでにあって、その辺の深刻度の無さが作品のいい意味での軽さにつながっているのかなと。強烈な問題意識が根底に流れる映画もいいけど、こういうゆるーい映画もいいもんだなと思わせてくれる。観ていて物凄く気持ちよくなれる映画だし、映画の中の登場人物になりたくなる作品。


ピーターの環境は最高ですよ。性格も明るいし、嫁さんは綺麗だし、仕事は給料良くて時間にも余裕がある、家族ともうまくいっていて、健康状態も良好。普通の人間の欲しい物は大体全て手に入ってる人間、それがピーター。そんな順風満帆ないけすかないヤンエグ野郎が主人公の映画なんて、普通は観ても面白くないと思うんですけど、これが全然嫌味になってないんだなぁ。金持ちで人生楽しそうな奴しか出てこないのに、なんで登場人物のことが好きになれるのか。能天気に見せて、実はこの辺に物凄いテクニックを駆使してる映画なのかもしれない。作った人達が「こんな生活してえなぁ」と心底思いながら作ったことは確かで、その辺の欲望が正直に出てる部分に好感がもてるのかも。


L.A.のベニスビーチとかが舞台で、雰囲気にも凄く西海岸的楽観ムードが漂っている。日の照りつける海岸で犬の散歩して、タコスサンド食って、酔っ払ってもサンダルでスクーター乗ってブーンと帰っちゃう、そんで大好きな女の子にキスをする。そういう暮らし、正直したいわ! あとゲイも差別されないっていうね。まさにこの世の理想郷、現代人の一番幸福な生活の形がこの映画には具現化されている。だからやっぱ観てて多幸感があるんだろうなー。いい映画!